CAPプログラムについて
キャップ
アメリカで1978年に開発されたCAP=Child Assault Preventionは <子どもへの暴力防止>という意味です。
CAPプログラムでは、まず私たち一人一人が持っている<生きていくためにどうしても必要なもの>である、 権利について学びます。
子どもは、みんな<安心して、自信をもって、自由な気持ちで生きる権利>があるということを伝え、 その権利を奪ってしまういじめ、誘拐、性暴力といった様々な<暴力>から 自分を守るためにどんなことができるかを、子どもたちとともに考えます。そして保護者、親、教職員、地域の人々に伝えていくプログラムです。
CAPプログラムの特徴
CAPプログラムは、参加体験型〈ワークショップ〉形式をとります。
子ども向けワークショップでは子どもが自分で自分の身を守る方法を学びます。
おとな向けワークショップでは子どもをサポートしていく方法を実践的に学びます。
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人権意識を伝える
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エンパワメントの考え方が根底にある
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地域との連携を大切にする。
権利について
すべての人が持っている大切な3つの権利
安心する権利
自信を持つ権利
自由な気持ちで
生きる権利
私たちの大切な権利がとられそうになったときには、
なにができるかな?
No ( いやだ )
Go ( にげる )
Tell ( そうだん )
日本での広がり・・・。
1985年に森田ゆりさんが紹介して以来、現在北海道から沖縄まで、約100以上の団体が、活動しています。
CAPプログラムの考え方
CAPプログラムでは3つの大きな柱があります。
人権意識
CAPプログラムでは、権利を<生きていくためにどうしても必要なもの>と伝えています。
CAPで言う権利とは人間が生まれながらにして 誰しも保障されるべき基本的人権のことです。
子どもたちが自分は価値のある大切な存在なのだと認識していなければ、自分の身を守るための知識や
具体的な技術をどんなに伝えたとしても、 使うことは難しいのです。
自分を大切に思える心があるからこそ、自分も人も大切にできる-これが人権意識にほかなりません。
エンパワメントの考え方
すべての人は本来内なる力を持っています。子どもをおとなが守るべき弱い存在だ、と考えるのではなく 、子ども自身の問題を解決する力を信じ、 その力に寄り添い、発揮できるように働きかけます。CAPプログラムは、 この<エンパワメント>の考え方が基になっているのです。
地域(コミュニティ)の連携
CAPでは、子どもたちが安心して暮らしていくためには、地域のおとなたちの連携や子どもたちに対する サ ポートが不可欠だと考えます。おとな向けのプログラムでは、エンパワメントの関わりや人権意識について、また、暴力に対する知識、情報、子どもをサポートする方法を一緒に考えます。
ワークショップの種類
CAPプログラムは人権概念を通して、子どもたちが いじめ、誘拐、性暴力などのさまざまな暴力から自分を守る方法を学ぶ参加体験型のプログラムです。
年齢や成長に応じて、言葉遣いや劇の内容を変え、わかりやすい構成になっています。
子どもワークショップのみの依頼は受け付けていません。
子どもワークショップをやる前には、必ず、おとな向けワークショップを開催していただきます。
周囲のおとなのサポートが、<子どもへの暴力防止>には欠かせないからです。
おとなワークショップのみの依頼は、お受けしています。
所要時間
約2時間
定員
制限なし
CAPワークショップの種類
おとな向けワークショップ
CAPの原型がアメリカで出来た時、おとなの講演はありませんでした。
子どもにプログラムを届けている過程で、子どもを支えるおとなが、暴力について、また子どもへのサポートのあり方について、きちんとした知識を持つことが不可欠であることに気付き、作られました。
現在では、子どもワークショップを開催する場合、保護者や教職員の方々には、 まずおとな向けのワークショップを必ず受けていただくことになっています。
時間は、約2時間。ワークショップ形式で進めていきます。
講師によって、内容に多少バリエーションがありますが、 お伝えする基本的な内容は以下のとおりです。
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CAPの歴史と成り立ち
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暴力について
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子どもワークショップの一部実演と説明
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エンパワメントについて
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子どもへのサポート
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関係機関への通告と支援機関
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質疑応答
就学前ワークショップ
1日20分のワークショップ+トークタイム30分を3日間
かわいい写真に加え、歌、子どもたちに大人気の大きな人形を使いながら 、<自分を守る方法>を楽しく学べる工夫がされています。1日20分は、子どもたちの集中力を考えて設定された時間です。
1日目
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けんりの話
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あんしん じしん じゆうのけんり
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劇 <お砂場でシャベルを無理やりとられたとき>
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いやだ、やめて という練習
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トークタイム(CAPのスタッフと自由にお話できる時間)
2日目
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人形劇<知らない人につれていかれそうになったとき>
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しらない人からは離れている
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特別な叫び声の練習
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つかまれたり、抱き上げられたりした時にできること
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トークタイム(CAPのスタッフと自由にお話できる時間)
3日目
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歌 からだの名前「大切な自分のからだ」
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劇<くすぐりの劇>
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劇<知り合いのおじさんにいやな触り方をされたとき>
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おとなの人に お話しよう
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劇<信頼できるおとなに話す>
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トークタイム(CAPのスタッフと自由にお話できる時間)
小学生<低学年・高学年>
60分のワークショップ+トークタイム30分 (授業2時限分)
学年に応じて言葉遣いや劇の雰囲気などを変えて進行していきます。安心して自由な気持ちで意見を伝えたり、劇に参加してもらう体験を通しながら、 <みんなが持っている権利>や<自分を守る方法>についての理解を深めていきます。
また高学年では 最初の<権利>についてのお話のまえに、「暴力にはどんなものがある?」と子どもたちになげかけ、 考えてもらう時間をとります。
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権利とは
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安心 自信 自由の権利について
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劇1<いじめについて>
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かばんを持たされる劇(低学年)または お金を取られる劇(高学年)
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ことわる・逃げる・相談する方法の確認
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劇2<誘拐について>
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知らない人にはついていかない
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安全な距離を保とう
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簡単な護身術
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特別な叫び声の練習
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劇3<性暴力について>
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親戚のお兄さんからキスをされる劇
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安心できない秘密は守らなくていい。
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ことわる、逃げる
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大切な自分の心と体
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劇4<先生に相談>
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信頼できるおとなに相談
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トークタイム(CAPのスタッフと自由にお話できる時間)
中学生向け
1日100分ワークショップ(授業2時限分)+トークタイム30分を 2日間
日本の中学生の状況に合わせて、権利=人権について理解を深め、暴力から自分を守る方法を、グループワークを交えながら考えていきます。
1日目
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暴力とは 権利<基本的人権>とは
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劇<痴漢にあったとき>について
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護身術
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劇<いじめ>について
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トークタイム(CAPのスタッフと自由に話ができる時間)
2日目
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劇<体罰>について
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「自分らしさ」について
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「動いて選択」ワークショップ
自分の意見を表明し、考え方の違いを知り認める機会をもつ -
劇<知ってる人からの性暴力>について
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仲間からのプレッシャーやサポートのあり方について
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トークタイム(CAPのスタッフと自由に話ができる時間)
その他のプログラム
CAPユニットでは、知的障がいの子どもたちや、児童養護施設の子どもたちに向けてもCAPプログラム を届けています。 子どもたちによりよいワークショップを届けるため、先生や職員、保護者の方々との打ち合わせを行いながら、組み立てていきます。
参考図書
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『日本のCAP』 CAPセンターJAPAN 発行
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『「ノー」をいえる子どもに-CAP』S・クーパー著 童話館出版
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『子どもと暴力』 森田ゆり著 岩波書店
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『あなたが守る あなたの心 あなたのからだ』 森田ゆり著 童話館出版
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『CAPへの招待』CAPセンターJapan 編集